感染症 備え2 免疫力を上げる

2020.03.19 Thursday

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    感染症を防御する最大のカギは徹底した予防対策と共に一人一人の免疫力にもかかわっており、免疫力を高めるためにも食事、適度な運動、十分な睡眠などにご留意ください。

     

    1.食事

    免疫力を高めるために腸が重要な働きをしていることがわかってきました。腸は、口から食べた食べ物を消化・吸収する場所ですが、食べた物と一緒にウイルスや病原菌などが侵入してくる場所でもあり、そのため腸の壁の内側には多くの免疫細胞が集中しており、体全体の免疫細胞の約70%が腸に集まっています。さらに小腸壁に存在するパイエル板といわれるところで働いている免疫細胞は、腸での免疫に関与するだけでなく、血液の流れに乗って全身に運ばれることで病原菌やウイルスを攻撃する役割があります。このように腸は外界からの病原体の侵入を食い止める最大の免疫器官なので、腸の免疫細胞を活性化することが免疫力を高めるポイントとなるのです。

    腸の健康のカギとなるのが腸内フローラによる働きです。腸内フローラとは、腸の内部を顕微鏡で見たときに、腸(小腸から大腸にかけて)の壁に細菌が同じ種類で群生し、いくつものグループを作っている様子がまるでフローラ(花畑)のように見えることから名づけられた、腸の内部の細菌(腸内細菌)の様子のことを指します。ヒトの腸内には、多種多様な腸内細菌が繁殖しており、その規模は数万種,600兆個〜1000兆個以上ともいわれ重量にして1kg〜1.5kg。これらの腸内細菌がさまざまな機能を持って、人間の身体を健康にして自らをすみやすくするために、食べ物の消化・吸収を助け、免疫機能を維持しています。

    腸内フローラ」の働きは、

    1.病原体の体内侵入に際して、それを排除するように働く

    2.食物繊維を消化する

    3.ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチン、ビタミンKなどのビタミン類をつくる

    4.ドーパミンやセロトニン(幸福ホルモン)を合成し、その前駆体を脳に送る

    5.免疫力のおよそ70%が腸内細菌と腸粘膜細胞との共同作業で作る

    腸の不調、つまり「腸内フローラ」がバランスを崩すと万病のもとにもなるり、逆に「腸内フローラ」のバランスを整え、腸を健全にすれば病気を予防し、心身とも健康になるとも言えます。

    日本女性のガン死亡1(男性3)が大腸がんで、原因は食生活の欧米化(魚類を除く動物性脂肪摂取量増加)、加工食品、添加物が使われている食品を摂取する機会が増加、などによる腸内細菌のバランスの崩れや減少、特に女性では食物繊維不足による便秘も上げられています。食生活の乱れにより「腸内フローラ」のバランスも崩れ、一方で腸内細菌のエサである野菜や豆類、食物繊維の摂取量が減り日本人の腸年齢も老化しているといわれます。腸内細菌が減少し、腸内フローラのバランスが崩れることによって起こる病気は、免疫力低下によりアトピー、ぜん息、花粉症などのアレルギー性疾患、がんの発生を促す、潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患、ドーパミンやセロトニン(約7割は腸でつくられる)などの「幸せ物質」を脳に送れなくなり、うつ病をはじめとするいろいろな心の病気、認知症、自閉症、肥満、動脈硬化、糖尿病など多種多様に及び、当然、免疫力低下により感染症にも罹患しやすくなります。

    健康な人の腸内フローラは善玉菌が悪玉菌より多く、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」で存在しているのが理想的といわれていて、そのバランスが崩れ悪玉菌の方が多くなってしまうと腸のぜん動運動が悪化し便秘を引き起こしたり、体中の細胞内にどんどん過剰に脂肪が蓄えられていってしまうなど肥満の要因となったり、様々な病気の元にもなります。

    腸内細菌は主に3つのグループに分けられます。

    「善玉菌」ビフィズス菌や乳酸菌などの有用菌

    食べ物からのエネルギー吸収を適切な量にコントロールしたり、排便にもつながる腸のぜん動運動を促してくれて、主に身体にとって良い影響を与えてくれる細菌

    「悪玉菌」大腸菌(毒性株)、ウエルシュ菌、ブドウ球菌、バクテロイデス(毒性株)などの有害菌

    食物などを腐敗させたり、時にはがんの原因にもなってしまう、主に身体にとって害を与えることが多い細菌

    「日和見菌」バクテロイデス(無毒株)、大腸菌(無害株)、連鎖球菌などの中間の菌

    環境によって善玉にも悪玉にもなるその他大勢の菌

     

    悪玉菌が増えてしまう原因は、

    1.「加齢」・・・ (ちなみに赤ちゃんの腸内細菌はほとんどが善玉菌)

    2.「高脂肪食」・・・肉類、脂質の多い食品、加工食品など(これらに含まれるトランス脂肪酸は悪玉菌が好むエサ)

     

    善玉菌を増やし、腸内環境を整えるのに良い食品

    1.食物繊維(1日の摂取目標量が20g)腸内細菌の一種である“バクテロイデス”という菌は、食物繊維をエサにして「短鎖脂肪酸」という物質を出し、この短鎖脂肪酸は血液に乗って全身に運ばれ、余分な脂肪の蓄積を抑える働きがある

    2.オメガ3系脂肪酸

    オリーブ油、亜麻仁油、えごま油(しそ油)などの植物性油脂や、海藻、クルミなどの一部のナッツ類、ココナッツオイル、いわし、さば、サーモンなどに含まれる良質な油と言われるオメガ3系脂肪酸の摂取

    3.発酵食品 味噌、納豆、漬物、キムチ、塩麹、ヨーグルト、など

    4.オリゴ糖

    大腸の最も主要な善玉菌である『ビフィズス菌』のエサとなり菌を増やしてくれる効果がある 

    きな粉、甜菜、ごぼう、エンドウ豆、いんげん、そら豆、たまねぎ、など

    腸内細菌は、多種多様な種類が数多く存在していることが理想的なので多くの品目の食事を摂るよう心掛ける。

    (推奨されている日本人の1日の摂取品目数は30品目)

     

    関連リンク:

    前頭連合野の活性化・・・食べ物編

    肉体の大切さ2・・・食事

     

    2.運動

    適度な運動は免疫力をアップさせますが、激しい運動はかえって免疫力を低下させます。

    マラソンなどの強度の強い運動をした人は、しなかった人に比べて運動後に上気道感染症(風邪)にかかる率が2〜6倍増加したという報告もあります。運動強度が強い場合に免疫力が低下することは、唾液中のIgA(唾液に含まれる分泌抗体)量が激しい運動をした時期のIgAが低下し、風邪など感染症の罹患率も高くなることが分かっています。免疫力を上げるのに良い運動とは、自分が心地良いと思えるくらいの適度な運動で、ウォーキングだと1日,7000~8000歩が1万歩を歩くより、最も免疫力が高かったというデータもあります。最も基礎体力には個人差があるので、各々にあった適度な運動が大切です。

    目標運動強度:50%~70%

    運動強度90%

    関連リンク

    最大酸素摂取量と運動強度

    骨からのメッセージ(骨と免役力との関連)

    私のトレーニング方法1

    私のトレーニング方法2

    前頭連合野の活性化・・・運動編

     

    3.睡眠 

    松果体からメラトニンを分泌し睡眠を促す

    細菌やウィルスに対する抵抗力(免疫力)は睡眠中維持・強化されています。「睡眠時間が7時間未満の人は、8時間以上眠る人に比べて「3倍以上も風邪をひきやすい」ことがわかりました。また、寝つきが悪いとか夜中に目が覚めるなどで、睡眠時間全体の2〜8%が眠れなかっただけで、ぐっすり眠れた人に比べて「約5倍も風邪をひきやすい」というデータもあります。ウィルスに感染した細胞やウィルスを退治しようとする細胞は、「サイトカイン」という物質を出します。サイトカインは熱に弱いウィルスを殺そうと体温を上げる一方で、他の活動を止めてウィルスとの戦いに専念するため、身体を休ませようとして眠気を強くします。そのため、睡眠時間が減ったり、細切れにしか眠れなかったりする状態が続くと、身体の抵抗力(免疫力)が落ち感染症にもにかかりやすく、かつ治りにくくなってしまうのです。

    third eye ājñā-cakra「松果体」

    関連リンク:

    肉体の大切さ4・・・睡眠

    肉体の大切さ5・・・睡眠(脳の賦活)

    免疫力は、食事・運動・睡眠、を適切にコントロールすることで強化でき、また感染防御にもつながりますのでくれぐれもご留意ください。