運動で脳を鍛える2
2017.06.25 Sunday
最近はトレーニングメニューの中に、バランストレーニングが多く取り込まれるようになりました。
筋力トレーニングでは鍛えられないものをバランストレーニングで鍛えることができると分かったからです。
動作を円滑に行い、パフォーマンスを向上させるためにもバランストレーニングは重要です。
少ない動きで効率的に力を発揮するためには、バランス能力が高いことが必須のスキルです。
リハビリで対象が高齢者の場合、バランストレーニングを行う目的に歩行中の転倒予防に効果的という事があげられます。
これはバランス能力を鍛えることで、外界からの刺激に素早く反応できる体を作り、不安定な姿勢から速やかに姿勢を回復させる能力を向上させる事にあります。
バランス能力とは、
●静止姿勢や動作中の姿勢を保つ能力
●不安定な姿勢から速やかに姿勢を回復させる能力
と定義され、
バランスが良いという事をヒトの身体にあてはめると、「身体安定性が高い(良い)」とも言えます。
バランストレーニングの目的はこの身体安定性が高い(良い)能力を身につける事とも言えます。
バランス能力は、前回にお話した運動神経でも錐体外路という運動神経が深く関わっています。
この錐体外路は無意識的に、バランス、反射運動、運動の円滑化、姿勢制御、筋肉の緊張の調整を行い、錐体路(随意運動/自らの意思あるいは意図に基づく運動神経)を制御し、体の動きや運動をスムーズに行えるようにサポートする運動神経です。
バランス運動時の脳・神経系では、
適切に感じて(感覚系)、それを脳が適切な形に処理し(中枢神経系)、無意識に筋肉や姿勢を調節(筋骨格系)しています。
体の動き(運動)による刺激を受け、それらを脳に伝達する機能が「感覚神経」です。
バランストレーニングによって養われる「感覚神経」機能は以下のものがあります。
●視覚機能:自分の体勢や動きをその時点でおかれている環境から、視野から判断する機能
●前庭機能:耳の中に位置し、頭の動きや空間に対する体のポジションの情報を収集し伝達する機能
●皮膚感覚(触覚・圧覚):皮膚の受容器官を通って、現在おかれている体勢や、体が他のものと接触している部分(床なども含む)の状況を知らせる機能
●固有感覚(筋・腱感覚、位置覚):手足や体の動きを探知する筋肉や腱の受容器官から、体や関節などの位置、運動時の筋収縮、姿勢維持、抵抗感や重力感などの情報を伝える機能
足からの感覚神経(赤:皮膚感覚・青:深部感覚)
足 メカノレセプター
関連リンク:http://mountain-top.jugem.jp/?eid=337
体が慣れない体勢や不安定な場にある時、私たちの神経機能はその体勢を崩さないようにと反応します。
筋力トレーニングもですが、特にバランストレーニングのように不安定な体勢や場所で体位を維持するには脳から体全体に多種多様の信号を送り体を安定させなければなりません。
アスファルトの坂を登るより、地盤の悪い登山道を登る方が、一層沢山の指令を脳から体中に伝達し自分の体勢を保つ必要があるからです。
この様なバランス感覚は、Sensory system(知覚機能)によるもので、筋力トレーニングでは養うことは出来ません。
そのことによって脳が刺激され、人は外部からの刺激を上記の感覚系で受け取ってから、体内で適切な形に処理して運動神経を下していくのです。
小脳は特にバランス能力に重要な役割を果たします。
手足の協調運動・バランス「小脳」
例えば、外的な刺激(不安定な体勢や場所)から、こんな感じの姿勢を取ると転倒しにくいとか、あるいは姿勢を維持する事ができる、などを今までの運動の成果から小脳の中に学習され、蓄えられています。(運動学習)
学習して得た姿勢調節やバランス感覚を、高速で外部の刺激に反応して出力する(フィードフォワード)仕事をしているのが小脳の運動調節の機能です。
これらの事が、バランス運動は脳を広範に使い、脳を活性化させる理由なのです。
H29.6.24 asa健康教室(運動による脳活性) 足部メカノレセプターを感じる
タオルギャザー運動
つづく
皆さん楽しそうな感じが伝わります。
彼もたのしんでますね!謎