fact(事実)がtruth(真実)なの?...Is fact true?1(錯視) ・・・感性を磨く49
2018.05.29 Tuesday
錯視とは視覚に関する錯覚のことで俗に「目の錯覚」ともよばれるものです。
例えば、同じ大きさなのに違う大きさに見えたり、直線が歪んで見えたり、同じ色が違って見えたり、動いていないのに動いて見えたりと、 脳が図を物理的に正しく認識できなくなる現象のことをいいます。
同じ大きさの人物(遠近法)
目がとらえた視覚情報は、視神経を通り一次視覚野へ送られますが、その後に物体の空間的な位置関係を認識する背側視覚路、
見たものが何なのかを認識する腹側視覚路とに分かれ、
これらのいくつかの経路に分けて処理した視覚情報をもう一度集め再合成し、
その視覚情報を意味あるものとして解釈します。
一次視覚野までの視神経ルート(一次視覚野までは単に線、エッジ、輪郭、コントラスト、色 等を認識)
錯視のメカニズムは、
1.生理的に避けられない視覚情報の脳の誤差によるもの
(同時に何種類かの視覚情報が入ってくると、視覚情報の種類によって情報処理にかかる時間が異なるために、その情報処理の速度の誤差で錯視になる)
2.脳の思い込みによるもの
最初の視覚情報の情報処理(線、エッジ、輪郭、コントラスト、色 等)は自動的に働きますが、その後この目から送られてきた基本情報が意味あるパターンに結び付けられ対象を解釈し視覚認知されます。
視覚情報は30ほどあるとされる視覚野に中継されながら情報処理されて視覚認識されますが、
高次連合野にまで入ってきた視覚情報は今までの自分の経験、知識、概念等に照らし合わせて視覚情報の解釈をします。
入ってきた視覚情報で今までに自分の経験、知識、概念等の無いものに関しては、情報の解釈が出来ないので推察して解釈し視覚化する必要があります。
このような時にヒトが見るという行為は脳が作ったイメージを見ている、こころの反映を視覚化している、ということになります。
1.は脳生理的な誤差信号によるものなので避けられませんが、
問題なのは2.
今までの自分の経験、知識、概念等に照らし合わせて視覚情報を自分の思い込みまたは、推測して勝手に解釈しているということです。
このため隣にいるヒトが見ているものと、自分が見ているもので同じものを見ていても、それぞれ各人の経験、知識、概念などに照らし合わせその視覚情報を解釈するので、同じものでもそれぞれが違う見えかたをしている可能性もあるのです。
飛行機など見た事のない未開人が、大空を飛んでいる飛行機を見た時、飛行機という概念は脳に無いので自分の知っている巨大な鳥🐤、として認識しているかも知れません。
このように脳の処理において、その視覚情報はfact(事実)でも、
実際は、その視覚情報はありのままを見ているのではない(歪められている、概念というフィルターを通して見ている)のでtruth(真実)では無い可能性があるのです。
1.どちらが長い線?(答えは最後)
2.どちらの黒丸●が大きい??(答えは最後)
3.描いて無いのに真ん中に白い三角が見える?
4.何に見える??(答えは最後)
5.何に見える??(答えは最後)
6.何に見える??(答えは最後)
7.矢印2カ所のマスの色は同じ(影の部分は暗いはずと脳が認識し濃さを差し引くので影の部分のマスが明るく見える)
8.本物の富士山はどのイラスト???(答えは最後)
一般的な富士山のイメージ
本当の富士山の形は一般的なイメージより広い扇形(2016.1.1初日の出前の富士山.山梨県 竜ヶ岳にて)
答え
1.同じ長さ
2.同じ大きさの●
4.白色を基準に輪郭を見ると壺・盃に見え、黒色の輪郭でみるとヒトが向き合っているように見える
5.左から右に見ると鳥に見えるが、右から左に見ると兎に見える
6.女性の横顔に見えるが、女性の耳を目として見ると老婆の顔に見える
8.本物の富士山は右端(上の写真の富士山の輪郭のままイラストに描いてます)