タイの洞窟遭難を支えたもの1・・・瞑想編
2018.07.19 Thursday
ミャンマーとの国境に近いタムルアン(Tham Luang)という洞窟で連日の雨の影響で洪水となり、地元サッカーチームの子供たち12人と引率していたサッカーコーチのエッカポン・ジャンタウォンさん(25)一人が取り残されました。
食料は無く(当初はお菓子を持参と言われていたがその後なにも所持していないことが判明)洞窟内にしたたる水滴だけで9日を過ごし寒すぎない室温が幸いし、9日後にタイ海軍特殊部隊と欧米の熟練ダイバーらが入り口から5キロの地点で子供たちを発見しました。入り組んだ地形と溢(あふ)れる泥水に阻まれながらも、彼らが洞窟に閉じ込められてから17日目に13人が無事救出され「奇跡の生還」として世界中で話題になっています。
暗闇の中、時間の感覚もなく、救助が来るのかも分からない状況下で、恐怖と絶望に押しつぶされそうになる中、心を静めるためにサッカーコーチのエッカポン・ジャンタウォンさんが子供たちに教えたのは、瞑想(めいそう)でした。
タイの洞窟からの「奇跡の生還」は、「瞑想の力」に支えられていたともいわれています。
タイの少年たちに瞑想の仕方を教えたサッカーコーチのエッカポン・ジャンタウォンさんは、孤児として寺で暮らしていたときに瞑想を学んだそうです。
洞窟内で子供たちに座禅瞑想を教え、空気を使いすぎないよう呼吸のコツも伝授し、さらに体力を消耗させないように、子供たちには横になってじっとしているよう指導しました。
この事が「余計なカロリーを使わずに済んだのではないか」といわれています。
もともと瞑想は、聖者や修行者が解脱や修行目的で行って来たものですが、現代においての瞑想法の代表でもある「マインドフルネス」の瞑想では、瞑想の医学的効果から宗教性を排除した方法をとります。
1980年ごろ、アメリカのマサチューセッツ大学で開発されたのが「マインドフルネス」の瞑想です。
瞑想が、ただ静かに目を閉じて集中する行為であるのに対して、「マインドフルネス」はストレス低減などの目的があって集中力を上げるために目を閉じる行為であり、「自律神経が整う」といいます。
それを裏付けるようにハーバード大学やカーネギーメロン大学などで「ストレスに強くなる」「集中力があがる」「記憶力があがる」といった研究結果もあるそうです。
asa 健康教室 [ mindfulness] 2018.6.30
自律神経を整える「マインドフルネス」
(1) 姿勢を整える
椅子に浅く腰掛け、背筋を伸ばします。肩の力を抜き、手は膝の上、両足はしっかりと床につけて呼吸を整えます。
(2) 呼吸を整える
4秒かけて鼻からゆっくり吸います。そして、吸った倍の8秒かけて、口からゆっくり吐きます。これを5回繰り返します。
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【自律神経とは】
神経を大きく分けると、中枢神経と末梢神経に分けることが出来ます。
中枢神経は脳や脊髄に通り、全神経のコントロールセンターとして機能しています。
末梢神経は、脳と脊髄から枝分かれして全身に広がり、末梢神経には「体性神経」と「自律神経」があります。
自分の意志でコントロールできるのが「体性神経」で、
運動神経(中枢からの命令を末端に伝える)と知覚神経(末端から受けた情報を中枢に伝える)があります。
「自律神経」は、自分の意志では制御できない神経です。
自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があり、これらは互いに相反する働きをして血管や内臓の働きを支配しています。
具体的に交感神経は、心拍数を増やしたり血管を収縮させて血圧を上げたり消化器の働きを抑えたりするなど、心身を緊張させる方向へと働きます。
一方の副交感神経は交感神経とは逆で、心拍数を減らしたり血管を広げて血圧を下げたり、消化活動を活性化させたりするなど、心身をリラックスさせる方向へと働きます。
交感神経は活動的になるときに優位になり、副交感神経はリラックスするときに優位になります。
交感神経と副交感神経がバランスよく働くことで身心の健康が維持され(恒常性)、病気体質が退き、健康寿命が延びていきます。
日中は交感神経が優位になり、夜から朝にかけては副交感神経が優位になるというように、自然のリズムに合わせて交互に働きます。
自律神経は、自然界のリズム(外側のリズム)と、体内時計(内側のリズム)が同調していれば、問題なく正常に働いてくれますが、
不規則な生活は、主に昼間に優位になる交感神経と、夜間に優位になる副交感神経の切り替わりがスムーズでなくなるので、交感神経と副交感神経が乱れやすくなります。
この結果、交感神経ばかりが高ぶり、副交感神経がしっかりと働かないので、休息(リラックス)モード(副交感神経)になれず、この状態が続くと血流が悪くなり、全身の不調につながります。
自律神経が乱れる最大の原因が「ストレス」です。
私たちは、強いストレスを受けると、脳の最高中枢である前頭前野の働きが低下し、すると、自律神経を支配している脳の「視床下部」にも悪影響があり、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ自律神経の働きが大きく乱れます。
そのため、ストレス対策が最重要なのです。
ストレスは心身を緊張状態へと導き、交感神経を優位にさせる特徴があるので、
交感神経優位の状態では、免疫(病原体から体を守るしくみ)の中心的な役割を担う白血球のバランスが乱れて、病気に対する免疫力が弱まります。
交感神経が優位に陥ると、心拍数が増えたり血管が収縮したりする状態が日常的に続くことになり、高血圧や狭心症、不整脈、脳卒中などの病気も多発し、活性酸素(攻撃力の強い酸素)も大量に発生します。活性酸素は動脈硬化の進行を促して、心筋梗塞や脳梗塞、がん、認知症を招く原因にもなります。
このストレス対策の最有力の手段が、自律神経を整える「マインドフルネス」の瞑想なのです。
ヨーガは、アーサナ(ポーズ)、プラーナヤマ(呼吸法)、メディテーション(瞑想)、の3つの要素から成り立っていますが、「マインドフルネス」はこのうち、瞑想(メディテーション)と呼吸法(プラーナヤマ)にあたります。
白山 友へ 2016.7.27
どこかでリベンジしてみます☆