骨からのメッセージ
2019.02.26 Tuesday
骨の働きには、
1.支持作用:頭、内臓を支えて身体の支柱になる
2.保護作用:骨格を形成し、骨で腔(頭蓋腔、胸腔、脊柱管、骨盤腔)をつくり、その中に脳、内臓などの器官を納め保護する
3.運動作用:骨に付着する筋肉の収縮により、関節を支点に運動が行われる
4:造血作用:骨髄(赤色骨髄)で造血する
5:貯蔵作用:カルシウムを貯蔵し必要に応じ血液中に放出する
最近では以上のほか「骨」には、記憶力・免疫力・生殖力などを若く保つ働きがあることがわかってきました。
2018.1.7放送、NHKスペシャル「人体」骨では、「骨細胞」から様々なメッセージ物質が血液中に放出され「記憶力」「免疫力」「生殖力」などに関係していることが紹介されていました。
骨芽細胞(骨をつくる細胞)からは「オステオカルシン」というメッセージ物質が骨から血管を通じて全身に送り届けられ、
「記憶力」(海馬が活性化し記憶力がUPする)、
「筋力」(筋肉が若返り筋効率が増す)、
「生殖力」(精子の数が増加し生殖力が増す)、
に関係することがわかりました。
骨芽細胞からは「オステオポンチン」というメッセージ物質も放出され、
骨髄内の免疫細胞(造血幹細胞)に働き、免疫力を高める働きもします。
骨細胞には骨量を減少させる働きがあるメッセージ物質「スクレロスチン」があり、これが増えることで骨が弱く、脆くなり骨粗しょう症などの原因などにもなります。最近よく聞かれる「いつのまにか骨折」も「スクレロスチン」の増加が関係しています。
運動により「スクレロスチン」を減らせることが、ある実験から判明しました。
ミズーリ大学パメラ・ヒントン博士は骨量の少ない骨粗しょう症予備軍の男性38人(20~50代)に週3回30分、ジャンプ運動、筋トレを続けてもらい、骨に衝撃を与える運動を続けました。
1年後、38人中36人の骨量が上昇しスクレロスチンの値は下がりました。
骨細胞には「骨にかかる衝撃を感知する」働きもあり、骨に衝撃があるかないかにより、新しい骨を作るペースを決めています。
このため現代人のように座ったままの生活習慣や、デスクワークなど骨に衝撃がかからない生活を続けていると、骨細胞が「スクレロスチン」をたくさん出して骨芽細胞の数を減らし骨の生成(建設)を休め骨量が減少してしまいます。
骨量は25歳くらいを過ぎると加齢のため減少していきますが、運動により「骨に意識的に刺激」を与えるとスクレロスチンの値が下がり、骨量を上げることができることが分かったのです。
「スクレロスチン」(骨量を減らす)を抑制(減少)させることは、骨芽細胞(骨をつくる細胞)を活性化することにもなるので若返りのメッセージ物質(オステオカルシン、オステオポンチン)の分泌も盛んになり体全体を若く保つように機能し始めます!
私の場合、筋トレ+ランニングをセットで行いますが、特に筋トレ(バーベルスクワット、ベンチプレス)を本格的にトレーニングに取り入れてから(約4年)は成長ホルモン、オステオカルシン、オステオポンチンの分泌がより活性化して来たことを、肉体の実感(運動能力向上、若返りなど)から感じられます。
骨は破骨細胞(吸収)と骨芽細胞(増殖)により、全身の骨が3~5年で作り替えられる仕組みになっていますが、破骨細胞(吸収)と骨芽細胞(増殖)のバランスの崩れ(骨芽細胞生成の低下)が骨粗しょう症などの骨量低下や老化を起こしていきます。
骨芽細胞には圧縮力、破骨細胞には伸長力による刺激により、骨が活性化する特性があります。
先の実験の筋トレやジャンプ運動による骨への衝撃(圧縮負荷力)は、骨芽細胞の生成を活性化し「スクレロスチン」を低下させるとともに、オステオカルシン、オステオポンチンの分泌が活性化したことを証明しています。
尚、高齢者などでウオーキングなど外歩きが容易でない方など「昇降台運動」で足部から骨に衝撃をかける運動を行うことで、免疫力強化、認知症予防など、肉体の若返り効果を期待できます。
歩く時間がない人や座る習慣の多い人たちにも昇降台エクササイズは、手軽に室内で行える若返りエクササイズとなります。