鼻呼吸が大切なわけ 生理的呼吸と東洋医学の関連

2019.05.29 Wednesday

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    私たちは普段、呼吸「吸う」、「吐く」を無意識に繰り返していますが、これは脳幹網様体という生命維持機能(呼吸・循環調整)をおこなっている脳部位でオートマチックにコントロールされているからです。

    生命活動の根幹である呼吸は、鼻から吸って鼻から吐く「鼻呼吸」(生理的呼吸という)が正しい呼吸なのですが、昨今では花粉、大気汚染、アレルギー症の増加・増大などにより鼻腔がつまり、副鼻腔炎などで「口呼吸」(口で吸って口で吐く)という正しくない呼吸になってしまっている人が増えてきています。

     

     

    なぜ「鼻呼吸」が、人間の生理的に大切なのかには理由があります。

    1.鼻の粘膜(線毛という細く短い毛が生えた細胞におおわれている)からは絶えず微量な粘液(鼻水/1日に約1畔泌)が出ていて、そのうちの約7割が鼻を通る空気を加湿するので、体内に入る湿度は常に90%以上に保たれる。

    2.鼻腔内は豊富な血管網が発達しているため、血管を流れる血液により吸い込まれた空気(吸気)は約36度に保たれる。とくに、キーゼルバッハ部位(示指を鼻に入れた時に触れる辺り)は動脈網が発達していて外気を速やかに加温してくれる。この部位は鼻血の好発部位でもある。

    3.鼻粘膜に生えている微細な繊毛(鼻毛)や粘膜が、吸気に混じったホコリなどの異物を除去し、粘液層からの粘液(鼻水)が細菌やウイルスなどを粘膜細胞に付着、侵入するのを防ぐ。副鼻腔でNO(一酸化窒素)が作られ、これにも殺菌作用があるので病原菌から体を守ってくれる。NOには血管を柔らかくする作用もあるので全身の血流がスムーズになり(体循環)、鼻呼吸によりNOが肺に運ばれることで肺と心臓の血液循環(肺循環)も活性化する。

    4.脳と鼻は密接な関係があり、脳は高温には脆弱で、脳温が40.5℃を超えると機能障害を来してしまう。このため、鳥類や哺乳類では、激しい運動などによる高体温時の脳保護システムとして、体温とは独立して脳を冷却する選択的脳冷却機構(selective brain cooling:SBC)がある。SBCが機能することで高体温時に脳温を下げ、安全にスポーツを楽しんだり、熱中症予防にもなる。SBCによる脳冷却機能を効率的に働かせるには、頭蓋内に流入する静脈血が頭部の汗の蒸散と、鼻呼吸で鼻粘膜の血流が増加することで鼻粘膜での脳温冷却システムがフル稼働し、これらがラジエーターの役割となり脳温度を調節している。また、鼻粘膜と脳の前頭葉の距離が接近しているため、静脈血だけでなく、鼻腔と脳の直接的な熱交換によっても脳が冷却される

    鼻呼吸が生理的に大切なわけは、このれらのことから、鼻がエアコン・加湿器・空気清浄機の役割をしているということがわかります。

    口呼吸では、鼻呼吸ほど異物を取り除けないことや、温度や湿度も高められないままに喉の粘膜、気管、肺などに空気が入るので細菌やウイルスも侵入しやすくなり粘膜の炎症や免疫も低下しやすくなります。また口呼吸により口内が乾燥しやすくなるので歯肉炎や虫歯になりやすいなども指摘されています。

    東洋医学(中医学・漢方)には、取り込まれた気は「肺経脈」(鼻も含む)から全身にめぐらされ、口は「脾経脈」という消火・吸収(飲食物から気をつくる)のとりまとめに関係することから、東洋医学的にも鼻は呼吸器、口は消化器であることを裏付けています。

    関連リンク:「気」・「プラナー」 生命エネルギーの流れ(東洋医学の人体観)1

    アーユルヴェーダ(インド医学)においては生命エネルギーをプラナーと言います。このプラナーは鼻腔から取り込まれ背骨の両サイドにあるピンガラー管、イダー管をながれ、全身にくまなく張り巡らされたエネルギールートに流れ込んでいきます。ピンガラー管は(陽のエネルギールート)で自律神経では交感神経に対応しています。イダー管は(陰のエネルギールート)で副交感神経に対応します。ピンガラー管は男性では背骨の右側(女性は左側)、イダー管は男性で背骨の左側(女性は右側)を走行しています。

    関連リンク:生命エネルギーの循環(72,000本のナディー)・・・感性を磨く40

    ヨガの呼吸法に、片鼻呼吸法(ナーディー・シュッディー)という意図的に左右の鼻を交互に使いながら息を吸ったり吐いたりする呼吸法がありますが、これは交感神経と副交感神経のバランスを整える呼吸法で、右鼻呼吸は左脳(交感神経)、左鼻呼吸は右脳(副交感神経)が活性化されます。

    片鼻呼吸法(ナーディ・シュッディー)

    ★片鼻呼吸の手順
    【手順1】アグラ(蓮華座)で座り、舌の先を上あごにつける
    【手順2】口を軽くあけた状態で、両鼻から息を深く吸い、深く吐く(3〜4回繰り返す)
    【手順3】目を閉じる
    【手順4】右手親指で右小鼻を押さえて左小鼻から息を吸う(4秒)
    【手順5】右手親指で右小鼻を押さえたまま、右手薬指と小指で左小鼻を押さえて息を止める(16秒)
    【手順6】右手親指を開放して、右小鼻から息を吐く(8秒)
    【手順7】吐ききったら、右小鼻から息を吸う(4秒)
    【手順8】右手親指で右小鼻を押さえて息を止める(16秒)
    【手順9】右手薬指と小指を解放して、左鼻から息を吐く(8秒)
    【手順10】吐ききったら、左小鼻から息を吸う(4秒)
    【手順11】手順3〜10を何度か繰り返す
    【手順12】最後は、手順2と同様の行為で終える

     

    関連リンク:タイの洞窟遭難を支えたもの2・・・自律神経を整える

     

     

     

    http://www.asa2000.info/

     

     

     

     

     

    コメント
    久々に画伯の本領発揮ですね(^_-)-☆
    • by りんご探検隊長
    • 2019/05/29 7:48 PM
    @りんご探険隊長
    ありがとうございます\(__)
    最近、山ブロばかりだったので
    自分の拙いお絵かきの出番なかったです。

    あの景色見てると...、
    「真実に勝るもの無し」
    を実感します。(⌒0⌒)/~~
    • by asa
    • 2019/05/29 8:59 PM
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