白馬岳2・・・白馬大雪渓

2017.08.29 Tuesday

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    白馬大雪渓は、全長3.5km、標高差600mある日本では最大規模の雪渓で白馬岳(2,932m)と杓子岳(2,812m )により形成される谷にあり、両山の東方に位置する。

    登山口の猿倉から大雪渓までは白馬大雪渓遊歩道になっており約1時間半(標準コースタイム)で到着するため大雪渓ケルンまでは手軽に登る事ができる。このエリアを猿倉→ケルントレッキングエリアという。

    大雪渓末端に白馬尻小屋があり、雪崩による倒壊を避けるため毎年営業終了後の秋に山小屋は解体され翌年の春に組み立てられる。

    大雪渓後半は傾斜がきつくなり、それより先は白馬岳への本格的な登山コースとなる。雪上には歩行コースを示す赤い粉がまかれており、これにしたがって歩行する。このエリアは大雪渓ケルン→白馬岳・登山エリアという。

     

    大雪渓ケルンからは本格的な雪渓登りとなるので、盛夏でも6本爪軽アイゼンは必携。

    今年は積雪が多かったので雪渓も大きく長さもあったようだが、7・8月の長雨で急速に溶解したようだ。

     

    この日、雪渓は既に腐り、しかも途中からかなりの雨が降り始めた。

    雪が腐るとは登山用語で、気温が上がると雪が融け柔らかくなった状態のことをいう。雪が融けはじめてきて水分を含んだ重い雪になるのでその雪の上を歩くとぐちゃぐちゃになりやすく、登山では歩きにくく、スキーでは滑りにくくなる。登山においては足が取られやすくなり、厳冬期の冬山登山に比べるとかなり体力を消耗しやすくなる。

     

    大雪渓エリアを過ぎアイゼンを外し、少し岩稜地を歩くと巨大な岩石の下に避難小屋がある。

    大雪渓途中からの雨はこの辺で本降りとなり、大粒の雨と風が一気に身体を冷やしていく。

    天気予報では前線はかかってはいないのだが、積乱雲が発生しやすい不安定な天候となっていて、1週間前から毎日、白馬岳の週間予報をチェックしていたのだが、その間でも天気予報は二転三転しいた。

     

    猿倉で出会った話好きなおじさんは、8月に入って白馬岳が晴れたのは20日と21日の2日間だけ、俺は今下山してきたが丁度いい時に登ったと上機嫌に話してくれた。この日(22日)も猿倉からすでに曇っていた。

     

    登山で気をつけなければならないのは、天気の急変。雨が降ればすぐにびしょ濡れに、風が吹けばすぐに体温は低下する。風速と体感温度の関係は、気温が同じだとしても、風速が1m/s増せば、体感温度が約1.0℃下がる。

    高山になればなるほどこの気象変化による身体への影響は大きくなり、低体温症になると筋肉が動かなくなるので自力歩行も困難となる。

     

    低体温症とは、脇下の体温ではなく、直腸温などの中心体温が35度以下になった状態をいう。登山においては「偶発性低体温症」といい寒冷な空気にさらされると、手足の抹消血管が収縮して血流をおさえ、熱の発散を抑えるとともに、震えといった症状がおこる。震えがあるうちは熱を上げるエネルギーが残っているが、震えがなくなった時が本当に危険。震えがある状態で、体温をあげる処置を行う。

    震えが始まったら、まず意識がしっかりしているかどうかを確認する。まず初期段階として、身につけているものが濡れていたり冷たいものがあったら、身から外し、健康な人と一緒に毛布にくるまるなどして体を温め、体温をあげるためのカロリー補給をし、脱水症状を起こさない水分を補給する。(コーヒーやお茶は利尿作用があるので水分補給には向かない。)

     

    平地の天候いかんに関わらず、登山には雨具、防寒着、グローブ、高カロリーの行動食は必携した方が良い。

     

    また、天気が崩れると気圧も低くなる(低気圧)。

    低気圧による身体への影響(高山などの気圧低下も同様)

    1.低気圧で周囲の空気から身体にかかる圧力が下がると、全身の血管がゆるんで膨張「血管が膨張」する。

    脳の血管が膨張すると、脳の中でも最も大きな神経である「三叉神経」に触れ刺激するので、血管の脈動に合わせてズキズキと脈打つような激しい痛みが襲う「低気圧性偏頭痛」が起こりやすい。

    これは高山など標高が上がれば気圧も下がるので同様。まして高山で低気圧に合えばWパンチ!

     

    2.気圧が下がるとともに血圧(血の流れをコントロールするポンプの強さ)も低下し、低血圧の状態では血行不良が起きやすいくなるので、血の流れが滞り肩や首、その他全身の筋肉が緊張し、こわばってしまう。この血行障害の状態が長く続くと、頭痛につながりやすくなる。

     

    3.気圧が低くなり血液循環が悪くなると、自律神経が乱れる。それを察知して副交感神経が強く活動を始めるので

    • 頭がぼーっとする
    • 全身がだるくなる
    • 疲れやすい

    などの症状(体の弛緩作用)が働きやすくなる。

    *自律神経の作用

    「交感神経」興奮・緊張を司る

    「副交感神経」リラックス・弛緩を司る

     

    4.気圧が低いときは、空気中の酸素の量が少なくなっている。空気が薄くて充分な酸素を取り込めないことで、めまいや耳鳴りなどの感覚障害を引き起こしたり、筋肉の痙攣、頭痛などに見舞われたりする。

     

    対策:The long long way 空木岳2

     

     

    白馬大雪渓ケルンから本格的なアイゼン登高

     

     

    6本爪軽アイゼン

     

     

    赤い粉が撒かれたラインを進む


     

     

    3号雪渓

     

     

     

     

     

    2号雪渓

     

     

     

     

     

    この辺でアイゼンを外す

     

     

    雪渓脇道の岩稜を登高

     

     

    氷河遺跡

     

     

    天候悪化(大雨となる)

     

     

    積乱雲が急激に発達して来たよう

     

     

    高山植物が増えてきた

     

     

     

     

    避難小屋

     

     

     

     

     

    登山道は沢状態

     

     

    お花畑

     

     

     

     

     

     

    登山道 沢状態

     

     

                                                                              つづく

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