備え

2019.11.24 Sunday

0

    10月健康教室前に、災害の備えについてレクチャーしました。2019.10.6発生の台風19号は、12日に日本に上陸し関東地方甲信地方東北地方などで記録的な大雨と甚大な被害をもたらしました。11/8現在(死者95名.行方不明5名.負傷者472名)

     

    近年の自然災害ではよく「今までに経験したことのない記録的な...」という言葉が毎年のように聞かれるようになりましたが

    そのような言葉に慣れて、対岸の火事的な傍観者とならないように日頃からの災害・防災への意識とその「備え(行動)」は、いざとなった時「生命の備え」となるように感じます。

     

    災害への備え

     

    2019.10.6西穂高岳山頂直下で遭遇した落石事故による被害者への救命処置は、自身の遭難への「備え」により速やかな処置を実行することができました。

    体内を流れる血液量は体重1kgあたり約80ml(体重あたり8%)、体重が50kgの人の血液量は4Lで全血液量の約20%(50kgの人で800mL)以上が短時間で失われると出血性ショック、さらに30%(1,200mL)以上の出血で生命の危機に瀕します。こどもは血液量が体重の約19分の1と少ないので少ない出血量でもショックを起こします。新生児では30mLの出血で命にかかわります。また同じ出血量でも短時間に出血した場合は危険です。

    西穂高岳での落石事故もそうでしたが、救助までに数時間(10/6西穂高岳落石事故救助まで約3時間)かかる場合など救急救命処置の有無はそのまま生死にかかわります。

    大規模災害に遭遇した時には一度に数万、数百万の人々が被災し救急医療機関、病院、道路交通網などすべてのインフラが麻痺状態となり正に自分の命は自分が守る事を強いられます。

     

    登山への備え

     

    人の呼吸が停止した際、脳自体には酸素を蓄える能力がないため、呼吸が止まってから4〜6分で低酸素による不可逆的な状態に陥り、そのため一刻も早く脳に酸素を送る必要があります。

    人間の脳は2分以内に心肺蘇生が開始された場合の救命率は90%程度であるが、4分では50%、5分では25%程度となる(カーラーの救命曲線)。

    したがって、救急隊到着までの数分間(5〜6分)に、「現場に居合わせた人」によるCPR(心肺蘇生法)が行われるかどうかが救命率に大きく関わります。

     

    先週、各市町村消防署で定期的に行われている救急救命講習を約20年ぶりに再受講してきました。講習内容はCPR(心肺蘇生法)胸骨圧迫と人工呼吸、AED使用、AED使用とCPRの継続法です。

    人工呼吸は実際に傷病者に行ったことがありますが、久しぶりに講習用マネキンで実際に気道確保しながら人工呼吸での実践で、最初は鼻腔閉鎖が弱かったために人工呼吸での肺への呼気吹き込みが弱くて肺があまり膨らみませんでしたが、数度練習し再びその感覚を取り戻して大変貴重な体験になりました。

    災害、事故、犯罪等、様々な事への日頃からの「備えとそれに向けた行動」は自身、他者に対する最大の防御、生命保持に大切な事のように感じます。